イタリアの本

本棚を変えイタリアの本を揃えてみました。いつか長靴型のイタリア沿岸の地中海を巡ってみたいです。選んだのは色んなジャンルの本です。今回料理本多めです。音楽の本も入れようと思ったのですがオペラは選集で聞く程度だし、イタロ・プログレもアレアを少し聴く程度なので、やめておきました。マネスキンというイタリアのバンドが流行っているとお客さんに教えて貰いました。ちょっとクイーンっぽいんですかね〜

1.『るきさん』 高野文子
日本の比較的平和な時代の話なのですが、主人公が最後にナポリに移住して炊飯器でご飯炊いてます。極右政権下のるきさんは?日本のえつこさんは?
2.『はじまりはダ・ヴィンチから』 布施英利
イタリアの芸術家で登場するのは他にカラヴァッジョ、ヴァンジ、スタジオ・アッズーロ。静岡のクレマチスの丘のヴァンジ彫刻庭園美術館が再開すれば行ってみたいです。
3.『人生の短さについて』 セネカ   茂手木元蔵訳
人生は短い、早く好きなことをしろと諭す小セネカ自身も、第5代ローマ皇帝ネロが暴君にならなければ、隠遁して著作活動をせず補佐役に追われていたかも知れないところがままならないですね。結局ネロに自害を申しつけられます。
4.『自省録』 マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子訳
『グラディエーター』にも登場する第16代ローマ皇帝の箴言集。実際は暗殺されたのではなく戦地で病死。

5.『月と篝火』パヴェーゼ  河島英昭訳
ストローブ=ユイレの『雲から抵抗へ』を観て読んでみようと思いました。これ書いて死んだのだなと感じました。
6.『倦怠』A・モラヴィア 河盛好蔵、脇功訳
モラヴィアはこの作品の他にも映画『軽蔑』『暗殺の森』の原作を書いています。
7.『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ  中山エツコ訳
エーコの遺作、陰謀と情報の渦に巻き込まれるの巻。正しい判断難しいですが情報の伝達には命令的な側面と妖怪的な側面があると思っておいた方がいいでしょうか。
命令されて、お化けになりたい?
8.『供述によるとペレイラは・・・・・・』アントニオ・タブッキ 須賀敦子訳
これもファシズムに直面する怖い話です、舞台はポルトガル。日本でもかつてあっただろう物語。全ての章が「供述によるとペレイラは」で始まります。ということはペレイラが嘘をついているところもあるかも知れませんね。
9.『月を見つけたチャウラ』ピランデッロ 関口英子訳
こちらもタヴィアーニ兄弟の映画で知りました。読むものに形や運動をイメージさせる書き方があると思います。語られる話は少し可笑しかったり、悲惨だったりが、ばらばらに時に同時に現れる。まれに救いやどんでん返しも。私たちの人生の一局面と同じでしょうか。
10.『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ  関口英子訳
所々に出てくる神学的なところは馴染みにくさもあるでしょうが、それを信じてる人の物語として読めると思います。「マジシャン」は友人が途中から言いすぎたと思い友情を保ちに来たと取ることも出来るでしょうか。

11.『本に読まれて』須賀敦子
ここではイタリアの文学をはじめ外国の作家も多く語られてます。タイトル素敵ですね、本が自分を照らし出す。タブッキの興味深い変奏について語られてます。
12.『皿の中に、イタリア』内田洋子
市井で語られるぶっちゃけ話が生々しい。イタリア料理も話が弾む料理なんでしょうか。
13.『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』古賀太
ここではさらっとしか紹介されて無いですが、ロルヴァケル監督の作品が色んなイタリア映画のハイブリッドとして出てきたのかなという印象です。『グラディエーター2』公開中ですが、これも大きくはイタリア映画でしょうか。
14.『パゾリーニ・ルネサンス』大島渚他 大野裕之編集
映画は随分観ましたが、この本にパゾリーニの詩も紹介されていて、いつかまとめて読んでみたいと思ってます。映画作家の理論だけが優れているということでは無いのでしょうが、パゾリーニの映画理論は作ったことがある人の意見でもあるのでしょうね。場面がセリフと違う意味になったり、記号やポエジーが溢れて世界が別の意味を持ち始めることありますよね。時には世界を変える力が宿ったり、亀裂が走ったり。
15.『ゲーテ イタリア旅行 を旅する』牧野 宣彦
ゲーテの『イタリア旅行』長いので読んでいません。これはその旅路を追った原著からの抜粋と写真が多く載った本と旅の読み易いガイドブックです。
16.『The Third Paradise』Michelangelo Pistoletto
古着と女神の作品などの代表作も含まれているアンソロジーかと思い購入すると、全て∞の真ん中に○を足した形のシリーズ作品ばかりでした。

17.『ローマ世界の終焉 ローマ人の物語XV』塩野七生
著者の意向と離れますが、やはりここを読みたい。大きく見てみると侵略と権力争いと悪政の側面が強くなれば、帝国も滅びるのが当然というところでしょうか。今に当てはまる部分もあるでしょう。日本でもありがちですが暴力と権力争いで勝ったものを奉るという社会・・迷惑だと思った方がいい。アウレーリウスの一時期がまだマシだったというだけの話。
18.『ローマ永遠の都一千年の発掘物語』
これは滅んだ後の話ですね。遺跡は帝国の歴史考察資源と観光資源になりました。
トランプ次期大統領は環境破壊を止めない方向みたいですね、戦争は本当に止められるのでしょうか。ロシア・ウクライナ戦争はすぐに止めるのは困難でしょうから、まずアメリカが支援しているイスラエルのガザの人々の虐殺や、周辺国への侵攻を止めないといけない。アメリカとドイツがイスラエルに支援してる武器で虐殺や爆撃、侵攻が行われています。ハリス候補がイスラエルに対して「今のまま」攻撃を続けるなら軍事支援を止めるともし言っていたら、大統領選に勝てただろうか、だが彼女はそう出来なかった、トランプはどうだろうか。共に地獄へ道づれとなるのだろうか。これらの地域で多国籍企業がエネルギー開発を進めるかどうかも注目しておかないといけないでしょう。

19.『現代の君主』アントニオ・グラムシ
現代の君主は人民・国民だと獄中のグラムシはマキャベリを無理読みし、書き換えます。
20.『ネグリ生政治的自伝 帰還』アントニオ・ネグリ  杉村 昌昭訳
こちらのアントニオも逮捕されていました。獄中から国会議員に立候補して当選するが、その後議員不逮捕特権を剥奪され亡命、帰国後また逮捕されのちに釈放。晩年どこかで新自由主義というものを真剣に考えないといけないと言っていました。
21.『愛の労働』ジョヴァンナ・フランカ・ダラ・コスタ 伊田久美子訳
ここで愛は反語として使われています、愛が全ていいなどと思うなと。ここに書かれてることを、超人的な努力で乗り越えようとしてる皆さんはお疲れのようです。
22.『プレカリアートの詩』フランコ・ベラルディ・ビフォ  櫻田和也訳
プロレタリアートと思うか、プレカリアートと思うか、マルチチュードと思うか、民衆と思うか、人民だと思うか、国民と思うか、庶民だと思うか、コスモポリタンだと思うか。割合の問題か、また別のものだと思うか。立場や場面によって違うでしょうね。ビフォは別著で日本社会を鋭く評していて、ひきこもりを社会的現象として評価しています。以前テレビでひきこもっている人を無理やり部屋から引きずり出す女性がいましたが、これにも苛烈な暴力を感じました。
23.『スタンツェ』ジョルジョ・アガンベン 岡田温司訳
書かれてることに近年世界で当てはまることが多い主著シリーズを選ぼうと思ったのですが、別の世界を望んでいるのでまた別のものを。こちらは西洋のイメージを辿る思索なので東洋人には馴染めない向きもあるかも知れません。
24.『マルチチュードの文法』パオロ・ヴィルノ 廣瀬純訳
ヴィルノはポストフォーディズム、マルチチュードの両義性を述べてますが、こちらもあちらにいいように使われてるところもあるのか?
25.『現代思想 特集 認知資本主義とは何か』
マラッツィとラッツァラートも登場、他の論考や特集以外の連載も内容が濃い。再読してみるとここから状況がさらに進んだとも考えられます。岩井克人氏に言わせると何も変わってないとなるのでしょうが。

26.『初めてのイタリア料理』齋藤美保
パートナーの転勤でイタリアに行くことになり料理を学ばれたみたいです。
27.『男のイタリアン入門』一個人編集部編
レシピの他に全国のシェフが紹介されてます。
28.『落合務のパーフェクト・レシピ』
ご病気後の家で作る簡易イタリア料理の新著が話題になってましたが、こちらは鉄板の方でしょうか。
29.『リーゾ』ピエロ・ベルティノッティ
リゾットの本です。パエリアばかりでなくリゾットも作ってみようと思い買いました。上の「愛の労働」を勘違いしていて、自身のモラハラに気が付かなく今も母と折り合いの悪い父が、僕が子供のころ母の留守中に珍しく作ったイカ墨の黒いご飯をこれは一体何だ!?と思って食べましたが、それは今考えるとリゾットのようなものだったのかも。僕のリゾットもレシピ通りにはやらないので似たところがあるかも知れません。料理以外は真似ないようにしようと思います。